外交・軍事・経済・サイバーという多様な角度から多様な手法を用いて、他国の世論形成や政策決定に影響を与える国家行動を研究するプログラム。最近は米大統領選へのロシアの関与や、オーストラリア政府やEUの各国の外交思想への中国の影響力の拡大などが注目されており、健全な民主主義システムをどのように維持していくかという問題解決への貢献が求められています。

AIの発展により、我々はAIを使って無尽蔵にネット上に戦略的に情報を流すこと、そして大量に溢れている多様な情報を分析することも可能な社会に生き始めています。今や、自分が見ているWEBサイトの情報は過去の自分の検索履歴やアクセス履歴によってカスタマイズされてしまっており、全ての人が同じ情報を目にしているわけではありません。個々人の記憶と行動への影響が最も及ぼされやすい関心度の高い情報をキャッチするチャネルへと仕立てられた情報端末に囲まれ、情報の発信と加工が繰り返えされ続けています。そこに悪意を持ったフェイクニュースが流れ込めば、関心を持った人たちがその情報を元にして二次情報、三次情報と加工情報をあっという間に拡散させます。人々の新たな常識を作るスピードはこれまで人類が経験していない速度の域に達しました。偽物の動画や音声は一般人でも精巧に作ることができるようになり、見るモノ、聞くことの全てが真実かどうか、本人が本当に発信しているかどうかも分からない情報が氾濫する社会において、我々が正しい情報で意思決定することが困難になっています。また、グローバル化は世界各国には多様な人種のコミュニティを誕生させ、各国の政府が特定の国の影響を受けているのか、その国のコミュニティの声を反映しているのかも判別が難しい状況になっています。テロリスクや雇用危機という不安もSNSやフェイクニュースによって過度にかつ過激に増幅されるとポピュリズムに繋がります。技術革新が生み出した民主主義の保護という課題解決に各国が取り組む政策は多様なテーマに影響を及ぼすルール形成の最前線となります。