日本政府の政策に対する能動的理解(日本が主張していることはきっと世界のためになる良いことなのだろうという潜在意識での合意を形成する力)を促すうえで不可欠な日本のソフトパワーをどのようにして作り上げるかを研究するプログラム。音楽、映画、アニメ、和食などをソフトパワーにしていくことが研究対象。

日本は2010年以降ソフトパワーの収益化には取り組み始めましたが、ソフトパワーを安全保障経済政策とリンクさせて影響力を向上させる取り組みはまだ緒についたばかりです。日本のコンテンツが評価されている点はいくつもありますが、例えばアニメの場合にはストーリーの詳細度、複雑性への関心が高く、音楽の場合には日本人の体形でしか出せないグルーブや和太鼓、能などに共通する“止め”の技術が欧米人には実現できない精巧性に対して海外から高い評価を得ています。複雑化が進む社会で二択型の単純かつ乱暴なロジックで人々を扇動する議論が増える中、複雑なストーリーを受け入れられる国民の態度はどの国においても重要な要素になっており、そうした態度の底上げにアニメはどのように貢献できるのか?を考える視点は収益化とは全く異なる新しいアプローチを生み出します。音楽も体系と音源の文化が異なるアジアからアジア流のロックバンドという音階を日本のミュージシャンが型として作り上げることは、アジア地域の課題の一つであるアジア人としての共通感覚を創り出す一助になるという捉え方も可能です。当研究所は収益化に止まらない日本のソフトパワーの在り方を研究します。