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発行者: CRS細胞農業研究会事務局広報委員会


2020/09/17

CRS細胞農業研究会ニュースレター

広報委員長

委員

本ニュースレターに記載・告知されたい内容がございましたらお気軽にご連絡ください。各ニュースレターのピックアップ、コメントは広報委員会の見解であり、研究会の意見を代表するものではないこと、何卒ご了承ください。

広報委員長:吉富愛望アビガイル

| 目次

 1. ハイライト
「代替肉」普及へルール策定 認証制度が軸、官民協議会発足:時事ドットコム
Wildtypeが寿司で食べられる細胞培養サーモンの限定予約受付を開始
2. 
ビジネス環境
ヴィーガンファーコートメーカー Apparisが$3mを調達、”Cruelty-Free” ファッションの展開を目指す
セブン・ファミマ・ローソンが大豆ミートに本腰、ハンバーガーやおにぎり、弁当など“すぐ食べられる”商品形態で
Beyond meat がプラントベーストパテのオンライン直販を開始
インテグリカルチャー、培養フォアグラ製造 研究試薬使わず
世界初となる代替肉のレトルト牛丼「ネクスト牛丼1.2」が、ネクストミーツ株式会社からリリース
Beyond Meat が上海に工場を開設
3. 消費者コミュニケーション
植物⾁・ビーガン⾷、広がる?⽇本企業も追随
4. 最後に
 ハイライト

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2020/09/04

「代替肉」普及へルール策定 認証制度が軸、官民協議会発足

サマリー

  • 農林水産省は、民間企業と連携し、大豆を主原料としながら肉のような食感の「代替肉」に関するルールづくりに乗り出す
  • 月内にも立ち上げる「フードテック官民協議会」では、食品メーカーなどが中心となって制度設計を議論する。品質のほか、環境への配慮を基準とすることが想定されており、民間企業などが認証の実施主体になる見通しだ

吉富コメント:
  • 「大豆を主原料とした代替肉」の普及のためのルール策定をする場合、代替肉の定義や表示義務に関しては消費者の今後の食生活のさらなる多様化を想定する必要があるかもしれません
  • 新型コロナの流行により消費者の食生活や価値観が大きく変化していることもあり、動物性タンパク質を一切食べない人や週に一度はお肉を避ける人、プラントベーストミートでかさ増ししてお肉の消費量を抑える人など、今後動物性タンパク質の消費への向き合い方の多様化がすすむと考えられます
  • 認証制度を作るのであれば、そのような意識的な消費者が安心して消費できる・選択の余地を与えるようなものであってほしいと個人的に願います

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2020/09/12

Wildtypeが寿司で食べられる細胞培養サーモンの限定予約受付を開始

サマリー

  • 培養サーモンのスタートアップであるサンフランシスコ拠点のWildtypeは、選ばれたシェフに対して予約注文の受付を開始。生食可能な寿司グレードのサーモンをメニューに加えたいと考える世界の選りすぐりのシェフをパートナーにしたいと考えたうえでの試み
  • 商品化されるのは約5年先
  • 同社は、天然サーモンの味と食感を再現するための、筋肉組織と脂肪の両方が成長できる足場材料構築技術を独自に開発。また、オメガ3脂肪酸の面で本物に引けを取らない寿司グレードのサーモンの培養にも成功

吉富コメント:
  • Mission Barnsによる培養肉ベーコンに引き続き、培養サーモンの予約受付が開催されるなど、サンフランシスコでは培養肉・魚に対する食育が先行して進められているようです
  • 寿司への使用も念頭に置いたサーモンということで、ぜひ日本の寿司職人にも培養サーモンの食育に参画してほしいと勝手ながら思います
資金調達環境

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2020/08/25

ヴィーガンファーコートメーカー Apparisが$3mを調達、”Cruelty-Free” ファッションの展開を目指す

サマリー

  • 米国国内に加え、フランスなど12カ国、20のヨーロッパ小売企業へのライン展開に向けた調達を実施。新たな資金で企業はより伝統的高級服のメーカーとの提携によりショーシャルメディア上での売上拡大を目指す
  • 出資者にはKarlie Kloss (スーパーモデル兼起業家)、Cam Newton (米国のフットボールチームNew England PatriotsのMVPクオーターバック)などが参加。ほかThird Kind Venture Capital (米国拠点のベンチャーキャピタル) や Exor Seeds (オランダ拠点の投資会社のシーズ投資部門)が参画
  • 同社はフランスの女性2人組が共同創業(Lauren Nouchi氏とAmelie Brick氏)
  • 売上規模は$7.3m (2019)、うち60%が小売向け
  • 米国百貨店チェーンのBloomingdale’sや、Saks Fifth Avenueなどへ販売実績

吉富コメント:
  • Apparis はウェブサイトにて次の目標を掲げています
    • 2020年秋コレクションでは、デザインに100%リサイクル素材を使用。コートの裏地にはすべてリサイクル・ポリエステルを使用
    • 2021年秋までには、アクセサリーのパッケージにプラスチックを使用せず、リサイクル可能な素材、堆肥化可能な素材、生分解性のある素材のみを使用
    • 意識の高いファッションを目指す
  • 筆者は最近、高校のころから憧れていたブランドのコートを思い切って購入したのですが、そのブランドがミンクを未だに使っていると知り非常にショックでした。大事に10年以上着たいと思ったからこそ買った商品でしたが、現在よりもエシカル消費が進んだ10年後に着ていて恥ずかしいと感じるような買い物をしてしまったのではないかという思いもあります。Good on you という、各ブランドのエシカル評価を行うサイトによると、そのブランドは”Avoid” 評価(最低評価)でした(そのコートは、服のエシカル消費に気づかせてくれた商品として今後も大事にしようと思います)
  • 本レター冒頭の農林水産省の官民協議会に関するニュースでは、環境に優しいかどうかの評価軸を策定するなどのルール形成が進められる可能性があると知りました。これを期に、消費全般についてサステナブルかどうかの可視化をすすめる流れができるとより良いと感じました。エシカル消費を日本で行おうと考えた場合、サステナブルかどうかの評価軸が民間企業に採用されていないことによる多くの不便に気が付いたからです
    • エシカルブランドのみを集めたオンラインサイトなどはあるものの、商品のラインナップが少なかったり、日本が配送圏外になっていたりするものがほとんどでした
    • 一方で、実際に商品を手に取る機会のある百貨店や、様々なブランドを取り扱うアパレルショッピングサイトではエシカルという評価軸で検索できる機能がなく、Good on you などのNPOのエシカルブランド名リストとの照合が非常に手間でした(最終的にはストアコンシェルジュに投げてしまいました)
ビジネス環境

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2020/08/25

セブン・ファミマ・ローソンが大豆ミートに本腰、ハンバーガーやおにぎり、弁当など“すぐ食べられる”商品形態で

サマリー

  • コンビニ大手3社が、購入してそのまま食べられる大豆ミートを使用した商品の販売を次々と開始
  • ファミリーマートは2020年3月以降、肉を一切使わないハンバーグを用いた「ベジバーグ丼」(日本ベジタリアン協会推奨マークを取得)や「大豆のお肉!キーマカレー」、「大豆のお肉!7種野菜のビビンバ丼」などを販売
  • ローソンは2020年7月から、大豆ミートを使用したハンバーガー、おにぎり、から揚げなどを全国のローソン店舗で発売
  • セブン-イレブンは、2020年6月に「セブンプレミアム」のチルド総菜で大豆ミート使用商品を発売

吉富コメント:
  • 各社様々なプラントベーストミートの特徴があり、比較しながら食べるのが最近の筆者の趣味です
  • なかにはお肉の代替品というより、新しい料理のように感じる商品もありました。いずれ代替肉も市民権を獲得して、何かの「代替」ではなくその商品カテゴリーそのものとして楽しむ日が来るかも知れません

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2020/08/27

Beyond meat がプラントベーストパテのオンライン直販を開始

サマリー

  • Beyond meat は自社商品を直接米国消費者に売るためのウェブサイトを開設
  • 新型コロナパンデミックによる牛肉価格高騰でビーガン商品への需要が急増し、レストランの整備が正常なレベルに回復していないなかでの対応
  • Impossible Foods は約3ヶ月前にすでに消費者への直接販売を開始

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2020/09/01

インテグリカルチャー、培養フォアグラ製造 研究試薬使わず

サマリー

  • インテグリカルチャーは、「培養フォアグラ」の本格的な製造を開始
  • ⾸都圏に新たな培養拠点を設置する計画だ。2021年12⽉の販売を⽬指す
  • ⾷品原料を原料とする培養液の製造により、⾷品衛⽣法上⾷品として⾷べることのできる培養フォアグラの製造に成功。研究試薬は使わずに安全性も確保

吉富コメント:
  • 細胞農業研究会加入企業のインテグリカルチャーの培養フォアグラが取り上げられました

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2020/09/04

世界初となる代替肉のレトルト牛丼「ネクスト牛丼1.2」が、ネクストミーツ株式会社からリリース

サマリー

  • フェイクミート(代替肉)開発ベンチャーのネクストミーツ株式会社が、「ネクストバーガー」「ネクスト焼肉」に続いて、「ネクスト牛丼」をリリース

吉富コメント:
  • 非常に「牛丼」に似た見た目であると思います。味が非常に気になります
  • 牛丼チェーンの店内で食べたら、一層、牛と錯覚してしまうかも知れません
  • 知り合いが「牛丼と呼んでよいのか」と突っ込んでおりましたが、消費者に誤解を与えないネーミングは本業界の成長にとって重要な観点であると感じました

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2020/09/09

Beyond Meat が上海に工場を開設

サマリー

  • Beyond Meatは、プラントベーストミートを専門とする外資系企業としては初めて中国に生産施設を建設するなど、中国市場の開拓を進めている
    • 例えば、7月に、Alibabaが所有するスーパーマーケットチェーンと提携し、上海の店舗でハンバーガーを発売した後、他の都市にも展開することを発表
    • また、ファストフードチェーン運営会社Yum Chinaとも提携している
  • 中国市場は、代替タンパク質製品への世界的な需要の高まりと、世界の食肉消費量の約3分の1を占める国という観点で、プラントベースト商品に取り組む企業から注目されている
    • 例えば、Nestleは昨年の5月に1億スイスフラン(約116億円)を投じて、中国の天津市で生産する計画も発表している
    • Impossible Foodsは中国への進出の機会を探っているが、コア原料のうちの一つが遺伝子組み換えであることから、中国政府の承認が必要であるようだ
  • 中国における代替食肉市場の成長は、動物性タンパク質の主な供給源である国内の豚肉産業が近年打撃を受けていることにも影響を受けたようである
    • 2018年にアフリカ豚熱、その後の新型コロナ大流行と大規模な洪水の発生により同国の豚肉価格は急上昇した

吉富コメント:
本件とは直接関係がありませんが、本文に登場したNestleについては日本でのプラントベーストミートの展開方法も気になるところです

  • 日本経済新聞によると、日本では2021年には植物肉製品を市場に投入する予定であるとのこと
  • まずは業務用として販売、日本人の味覚に合わせた商品製造のために国内での生産も検討する模様
  • 日本では厳格な菜食主義者「ビーガン」が欧米と比べて少ないなど、浸透には課題もあるため、深谷社長は市場開拓について「どういうメッセージで売るのか丁寧に考えないといけない」と語ったとのこと
消費者コミュニケーション

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2020/09/12
植物⾁・ビーガン⾷、広がる?⽇本企業も追随
植物肉・ビーガン食、広がる? 日本企業も追随

サマリー

  • プラントベースト食について日本市場における各企業の事業内容を簡単にまとめた記事

吉富コメント:
  • 本記事のビーガンビジネスの難しさについての記述が勉強になりました:
    • 1つは少ない客が薄く広く散らばる点で店舗運営が困難。この点ネット通販や宅配の普及は追い⾵
    • 2つめは動機の多様化による商品作りの難しさ。⾁の⾷べ応えを植物で再現するには塩分や添加物に頼ることもあり、健康志向の客はつかまえにくい。
    • 3つめは求める基準のばらつき。⽣産⼯程からも動物性素材を排除すべきだという厳しい⼈は、有機栽培野菜も動物のふんを肥料に使うため拒否する。各企業は商品やサービスがどういう基準をもとにビーガンを名乗っているのか、明⽰が求められるようになりそうだ
  • 商品の訴求方法で消費者に誤解を与えないようにする工夫は必要不可欠でしょう
    • 例えば、2020年8月のニュースレターで取り上げたが、Burger Kingは植物性タンパク質のパテ (Impossible foods のもの) を使用した”Impossible Whopper” を、(報道によると)“プラントベースト”や“ヴィーガン・フレンドリー”に見えるような広告で販売し、イギリスの広告基準協議会 (ASA) により“植物由来”の誤解を与える広告を禁止されたことがありました(2020年4月)




















 最後に


イベント告知や皆様のニュースリリースなど、本レターに載せてほしい情報や興味深い内容などありましたらぜひお気軽に共有ください。

Foot note
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